「外国人」とは誰か?──グローバル視点で国籍、市民権を考える<初年次ゼミナール>

科目名
Course Title
授業コード 単位数 配当年次 開講期間
Term
科目分類 ナンバリング
コード
曜日
コマ
教室 担当教員氏名
Instructor
「外国人」とは誰か?──グローバル視点で国籍、市民権を考える<初年次ゼミナール>
First Year Seminar
A110010088 2 1 前期授業 初年次ゼミナール FLCFE1101-J2 水2 A15-101 萩原 弘子

オフィスアワー

水曜日昼休み
➡オフィスアワーなし

授業目標

コロナ禍で世界は変わった、とはよく言われる。しかし正確には逆である。人間がする活動が世界(自然を含めて)を変えてしまったために、新型ウィルスが登場し、感染対象に人間を含むようになった。今後どんな世界をつくるのが人類の幸福なのだろう。途方に暮れている時間はない。これまでの世界の問題点をふりかえり検討することがいまこそ求められている。本講では、20世紀後半以降、世界規模の問題となっている労働力の移動(南から北への)と受け入れについて、日本の事例を中心にとりあげて、世界のこれからを考えてみたい。
 現在、自分の国でない国で「外国人(alien)」という位置で働き、暮らす人々が、世界に少なくとも2億数千万はいるという。しかし「外国人」という概念の意味は単純でなく、定義の仕方によっては、その数はさらに増える。
「外国人」とは誰か、という問いの答えは1つではない。それは「外国人」をめぐる諸問題の現実の複雑さを反映してもいる。本講では、この概念の複雑な諸相をグローバル視点で把握し、解決を必要としている局面を具体的に知る過程を通して、学問の基本的手法を身につけることをめざす。
 本講義の達成目標は次のとおり。
1.本講の内容を理解している。
2.わかりやすく、論理的な口頭発表ができる。
3.読んだ文献の紹介をするためのわかりやすいレジュメを作成できる。
4.本講義の重要論点について調査、考察し、複数が参加するディスカッションで意見表明ができる。
5.関連する問題群のなかから、レポート作成のためのテーマが立てられる。
6.講義を踏まえて、適切な調査方法、論理的な考察によって、レポート・テーマについて議論を展開できる。
➡オンライン授業実施にともない、次の達成目標を変更する:2.論理的な思考ができる。4.本講義の重要論点について調査、考察し、それを踏まえて自分の意見を的確に言語表現できる。

教科書

宮島喬『ヨーロッパ市民の誕生――開かれたシティズンシップへ』岩波新書、2004年(一般書店では品切れ。初回の講義で入手について案内する。)

参考書

陳天璽『無国籍』新潮文庫、2011年;遠藤正敬『戸籍と国籍の近現代史』明石書店、2013年;小井土彰宏『移民政策の国際比較』明石書店、2008年;駒井洋『国際化のなかの移民政策の課題』明石書店、2007年;丹野清人『越境する雇用システムと外国人労働者』東京大学出版、2007年;樋口直人、稲葉奈々子『国境を越える-滞日ムスリム移民の社会学』青弓社、2007年;丹野清人『国籍の境界を考える-日本人、日系人、在日外国人を隔てる法と社会の壁』吉田書店、2013年;近藤敦『新版 外国人参政権と国籍』明石書店、2001年;近藤敦『多文化共生と人権』明石書店、2019年.

授業時間外の学習(準備学習等について)

指定の教科書を読むこと。 
ゼミ形式で行なう授業なので、受講者は教科書のほかに授業で指定する文献を読んで、本講義テーマに関する発表を担当することが求められる。
➡オンライン授業実施にともない、教科書のほかに授業で指定する文献資料を読んで、担当テーマでのレジュメ作成にとりくみ、求められる課題に応じた学習をする。

授業の概要

2019年、日本で生まれた子どもは86万人、前年比7%減。公的な人口統計開始の1899年(当時の総人口は5000万に達していなかった)以来初の90万人割れである。2060年には総人口8000万程度に減ると予想される。すでに労働人口は急速に減少しつつある。これを危機と捉えて、早くも1980年代以来、日本政府は外国人労働者に関するいくつかの政策をうちだし実施してきた。
 最近の新政策としては、2018年12月の、外国人労働者の受け入れ拡大を目的とする出入国管理法改正がある。非熟練・単純労働のための入国を認めないという戦後以来の日本の入国管理に関する方針からの大きな転換を意味するのが、このたびの改正である。改正は、これからの日本社会にどんな影響をもつのか。この改正を、移民政策だとする見解に対して、政府は日本に移民政策は不要だとしている。この見解の対立は何を意味するのか。
 今回の改正の背景に労働力不足を嘆く経済界の求めがあるのはまちがいない。実は、労働力不足は40年ほど前から問題としてはっきりしており、それへの対応も重ねて行なわれてきた。その対応に対する批判的検討も、学問の世界でとりくまれてすでに久しい。これまでの対応とは、またそれへの学問世界からの批判とはどういうものか。そして、日本の対応は、グローバル社会の未来から見てどうなのか。
 本講では、宮島喬の著作『ヨーロッパ市民の誕生――開かれたシティズンシップへ』(岩波新書、2004年)と、その他の関連文献(授業で配付)を読みながらゼミ形式で進める。教科書ならびにその他の文献で提示されている論点である移民、外国人労働者、市民権、国籍、労働権といった問題に関して、調査して考える。そうするなかで、上記で挙げたいくつもの問いの意味とその答えを明らかにしていきたい。そして大学で「考える」とはどういう行為か、「考える」ためには何が必要かということも理解できるようにする。また日本の出入国管理行政の現実を知るために、その領域に詳しい弁護士をゲストに招いて話を聞く機会をもつ。
 とりあげるテーマ群は以下のとおり。市民権と国籍、技能実習制度、非正規労働者と労働権、移民社会など。

授業計画

第1回 Week 1 4月14日 準備学習等
第2回 Week 2 4月21日 DB検索方法 準備学習等
第3回 Week 3 4月28日 全体テーマおよびテーマAの基礎知識
  、
準備学習等
第4回 Week 4 5月12日 テーマA 準備学習等
第5回 Week 5 5月19日 テーマA 準備学習等
第6回 Week 6 5月26日 テーマA 準備学習等
第7回 Week 7 6月2日 テーマBの基礎知識 準備学習等
第8回 Week 8 6月9日 テーマB 準備学習等
第9回 Week 9  6月16日 ゲスト講師吉田恵美子弁護士によるZoom講義 準備学習等
第10回 Week 10 6月23日 テーマB 準備学習等
第11回 Week 11 6月30日 テーマB 準備学習等
第12回 Week 12 7月7日 テーマCの基礎知識 準備学習等
第13回 Week 13 7月14日 テーマC 準備学習等
第14回 Week 14 7月21日 テーマC 準備学習等
第15回 Week 15 7月28日 テーマCおよびまとめ 準備学習等

週進行を含む授業計画は、文献講読の進行と受講生数によって変わるので、初回授業で決定して発表する。
➡オンライン授業実施となったが、初回で決定したテーマA、B、Cを担当するチーム分けは決定どおりとする。レジュメ作成の対象となる文献資料については、受講生が図書館に来ないですむよう、変更する。詳細は授業支援システムで案内する。

成績評価

授業参加の姿勢50%(達成目標1~4)、レポート50%(達成目標5、6)で評価する。単位修得には、欠席は原則として3回以下、達成目標5、6の達成度が6割以上であることが必要。
➡変更あり。詳細は授業にて案内する。

備考(実務経験の活用を含む)

ゼミ形式での授業が難しくなった場合は、達成目標、成績評価について変更することもある。変更がある場合は、すみやかに受講生に通知する。
➡受講生の負担が不公平になるのを回避したいので、オンライン授業実施から対面授業に再度変更することはしない。