応用幾何学II

科目名
Course Title
授業コード 単位数 配当年次 開講期間
Term
科目分類 ナンバリング
コード
曜日
コマ
教室 担当教員氏名
Instructor
応用幾何学II
Applied Geometry II
B201010001 2 3 後期授業 専門科目 水4 A14-333 蓮井 翔

オフィスアワー

初回の講義で明示します.

授業目標

この講義はホモロジー論の基礎の習得を目標とし, 加えて, セミナー形式の講義を通じて参加者の基礎的な論証能力の向上を目指すものである. この講義では, まず多面体のホモロジー群をどのように定義するかを学習した後, 一般の位相空間に対してどのようにホモロジー群を定義するか, ホモロジー群というものがどのような性質を持っているか, そしてどのように計算できるのかを学習する. 言い換えるならば, 本講義の目標はホモロジー群というもの一般論, およびその基礎的な計算方法を習得することである.
より具体的には, 以下の能力を身に付けることが達成目標である.
1. 多面体の組合せ構造を決める単体複体の概念を理解すること.
2. 単体複体の重心細分を理解すること.
3. 単体写像が定める多面体間の連続写像の概念を理解すること.
4. ホモロジー群の定義と計算に必要な加群の概念を理解し, 計算ができるようになること.
5. 単体複体のホモロジー群の定義を理解し, 簡単な単体複体について定義に基づいた直接計算ができること.
6. ホモロジー群を計算する強力な道具であるマイヤー・ビートリス完全系列を理解し, 実際の計算に応用できること.
7. ホモトピーの概念とホモロジー群との関係を理解すること.
8. 多面体だけでなく一般の図形に対してホモロジー群が定義できることを理解し, 簡単な図形のホモロジー群が計算できるようになること.

教科書

田村一郎著「トポロジー」岩波書店(この本はオンデマンド書籍のため書店では購入できません.)

関連科目

幾何学入門, 幾何学, 代数学入門, 応用幾何学IA・IB.

授業時間外の学習(準備学習等について)

本講義は上記教科書を用いた輪読形式(1回につき2名か3名が発表する予定)で行う. 各自の担当部分を入念に予習し発表ノートを作成した上, 他の参加者の担当部分についても一読はしておくこと.

授業の概要

現代数学において, 図形などの幾何学的な対象を調べるための方法論としては, 微積分などを用いる微分幾何学・微分位相幾何学, そして代数的手法を用いる代数的位相幾何学の2つがある. この講義は, 後者の代数的位相幾何学において非常に重要な役割を果たす「ホモロジー群」を理解することを目的としている. ホモロジー群は100年以上昔にポアンカレによって導入された概念であり, 純粋数学の領域において広く応用されてきたのに加え, 近年ではデータ解析のための新しい道具としても注目されている(パーシステントホモロジーの医療研究への応用など). 以上に述べた通り, ホモロジー群の概念を理解し計算できるようになることは, 純粋数学においても応用面においても非常に重要となっているのである.
本講義では, 多面体のホモロジー群を中心に学習することにより, 前出のパーシステントホモロジー群の理解にも十分な予備知識を獲得できる. もちろん, より高度な代数的位相幾何学を学習するのに際しても, 多面体のホモロジー群の理解は必要なものである.

授業計画

第1回 全体のイントロ, および単体について.
目標:複体の構成要素である単体の概念を理解する.
準備学習等
第2回 複体と多面体.
目標:複体と多面体の関係を理解する.
準備学習等
第3回 重心細分.
目標:多面体を規則的に細分する重心細分を理解する.
準備学習等
第4回 単体分割.
目標:一般の図形に組み合わせ構造を導入するため, 図形の単体分割の概念を導入する.
準備学習等
第5回 群.
目標:群の定義と準同型写像について復習する.
準備学習等
第6回 加群.
目標:加群と自由加群について復習する.
準備学習等
第7回 可換図式.
目標:加群とその間の準同型写像からなる図式の取り扱い方を学ぶ.
準備学習等
第8回 ホモロジー群.
目標:単体複体のホモロジー群の定義を理解する.
準備学習等
第9回 ホモロジー群の簡単な性質.
目標:ホモロジー群の定義から導かれる簡単な性質を理解する.
準備学習等
第10回 鎖準同型.
目標:複体の短完全列から定義される鎖準同型を理解する.
準備学習等
第11回 マイヤー・ビートリス完全系列.
目標:ホモロジー群を計算する強力な道具であるマイヤー・ビートリス完全系列を理解する.
準備学習等
第12回 ホモトピー.
目標:ホモトピーの定義を理解する.
準備学習等
第13回 単体近似.
目標:単体近似定理を理解する.
準備学習等
第14回 連続写像とホモロジー群.
目標:連続写像が誘導するホモロジー群の間の準同型写像を理解する.
準備学習等
第15回 ホモロジー群の不変性と図形のホモロジー群.
目標:一般の図形に対してホモロジー群が定義されることを理解する.
準備学習等

成績評価

 授業目標の欄で述べた目標の達成度で成績評価を行う. 具体的な方法としては, 各回の発表を以下のような基準に則って採点する: 発表準備をしっかりしてきているか, 発表している内容についてきちんと理解できているか, きちんと証明等の行間を埋められているか, 他の参加者の理解に資するような工夫があるか. 参加人数にもよるが, 1度の発表に対して0点から20点程度の範囲で点数を与え, 講義を通しての合計値を各人の成績とする(上限100点, 60点以上で合格). 評価の観点等については初回講義にてより詳しく説明を行うが, 合格の基準としては, 最低限以下の2つの要件を満たすこととする. (i) スムーズに発表が行えるよう, きちんとノートを作ってくるなどの準備ができること. (ii) テキストの行間(テキストに書かれていること以上の補足的な説明が必要となる部分)をある程度自分で見つけられること.