物理学A(生命環境科学域・緑地環境科学類)

科目名
Course Title
授業コード 単位数 配当年次 開講期間
Term
科目分類 ナンバリング
コード
曜日
コマ
教室 担当教員氏名
Instructor
物理学A(生命環境科学域・緑地環境科学類)
General Physics A
A600280001 2 1 前期授業 理系基礎科目 FLPHY1928-J1 金3 B3-204 星野 聡孝

オフィスアワー

水曜日 10:40-12:10(居室:B3棟5階524室)
上記の時間以外でも時間の許す限り応対しますので、気軽に質問に来てください。

授業目標

 銀河の運動、太陽の周りを回る惑星の運動、地上で投げたボールの運動、固体や液体・気体などの物質状態とその変化、原子・分子の構造、化学反応、生命現象... これらにとどまらず、あらゆる自然現象は物理法則に支配されています。従って、物理学を学ぶということは、自然現象を、その本質にまでさかのぼって理解する方法を学ぶことに他なりません。

 本講義は、物理学の中で最も基礎的かつ重要な位置を占める古典力学の学習を通して、皆さんに物理学的なものの見方を養ってもらうことを目標としています。より具体的には、以下の3つを目標として講義を進めていきます。

(1) 数学を基礎とした古典力学の体系化を通じ、自然現象にも見られる物体の基本的な運動を、数値や数式(微分・積分を含む)を用いて表現・解釈できるようになる。
(2) 物理学全体を貫く基礎概念(エネルギー、運動量、角運動量とこれらの保存則など)を用いて、身の回りに見られる物体の運動現象のいくつかを説明できるようになる。
(3) 古典力学を基礎とした世界の見方、すなわち力学的自然観が持つ特徴を述べることができるようになる。

教科書

「第5版 物理学基礎」原康夫(学術図書出版社)

参考書

「ファーストブック 力学がわかる」表實(技術評論社)
「動画だから分かる物理 力学・波動編」鈴木久男 他(丸善)
「Primary 大学テキスト これだけはおさえたい物理」金原粲 他(実教出版)
「演習で理解する基礎物理学」御法川幸雄、新井毅人(共立出版)
「理工系のための解く!力学」平山修(講談社)   など

授業時間外の学習(準備学習等について)

(1) 「学習・教育支援サイト」
 府大の「学習・教育支援サイト」を通じて、以下の情報提供等を行う予定です。
・ニュースフォーラムを利用した電子メール( ****@edu.osakafu-u.ac.jp 宛)によるお知らせの配信
・講義動画配信 (復習の際、役立てて下さい)
・配布資料のpdfファイル提供 (プリントを無くしたときなどに役立てて下さい)
・自習問題解答のpdfファイル提供 など

(2) レポート提出
 講義の内容を深く理解するためには、問題演習が欠かせません。そこで、毎回、自習問題プリントを配布し、レポートを提出してもらいます。
・事前に解答をweb上に掲載するので、原則、丸付けをした上で提出すること
・他人のレポートを写したものは、写させた方も含め、未提出と同じ扱いにするので要注意!
・自習問題には、一部、次回の講義に対する予習問題も含まれている場合があります
・レポート締切:原則として次の水曜日まで
・オンラインで提出してもらいます。方法については、別途、指示します。
・成績評価の値は半分としますが、締め切り後でも提出を受け付けます

(3) 自習用教材(理数基礎 e-Learning講座)
 B3棟2階213室にて、「理数基礎e-Learning講座」の自習教材が自由に利用できます。授業よりもっと易しい説明を聞きたい場合、あるいは授業でやらない分野の勉強もしてみたい場合などに活用して下さい。いくつかの教材が利用できるので、レベルや興味に応じて選んで下さい。

授業の概要

まず、物体の運動を特徴づける物理量である位置・速度・加速度をベクトル量として定義し、それぞれが持つ意味を明らかにする。次に運動の3法則を説明し、力と物体の運動との関係を明らかにする。また、運動の3法則の一つである運動方程式をいくつかの典型的な運動に適用し、その解き方を説明する。さらには、重要な概念である仕事と運動エネルギー、保存力と位置エネルギー、角運動量と力のモーメントを定義し、それぞれの相互関係を明らかにする。また、エネルギー・運動量・角運動量保存則を導き、身の回りの自然現象を理解するのに役立つことを説明する。

授業計画

第1回 (4/9)序、 運動(1)
 古典力学を学び始めるにあたり、物理学とはどのような学問なのか、その中で古典力学はこの世界(宇宙)をどのように記述しようとしているのか、という話をイントロダクションとしつつ、物体の運動を記述するにはどうしたらよいか、という問題を考えていきます。
 例えば、一直線の道路を走る自動車の運動を考えてみましょう。この自動車の運動を適切に予測しようと思うと、まずある瞬間における、自動車の位置と速度を知る必要があります。では、位置と速度をどのように数学的に表現し求めたら良いでしょうか?また、「速度」と似た言葉に「速さ」がありますが、この二つの違いはなんなのでしょうか?第1回の講義では、これらを明らかにしていきます。
準備学習等
第2回 (4/16)運動(2)
 前回は、一直線の道路を走る自動車の運動を予測するために、位置と速度を考えました。しかし、自動車が加速していたり減速していたりすれば、実際はその予測からずれることになってしまいます。そこで、予測の精度を上げるためには、加速度という概念が必要となってきます。加速度はどのように定義されるのか、それは「加速」や「減速」とどのように関係しているのか、していないのかを説明します。
 また、物理学においては、様々な物理量を考える際、次元と単位という考え方がとても大切です。「1次元」「2次元」などと言う場合の「次元」とは異なる、物理量の次元とは何なのか、また、単位はこれとどう違うのかを説明します。
準備学習等
第3回 (4/23)運動(3)
 これまでは一直線上の物体の運動を取り扱ってきましたが、この世界の空間は3次元であり、物体は3次元空間の中を動いていくことになります。3次元空間の中での物体の運動を予測しようとすれば、当然、3次元空間での物体の位置や速度、加速度を定義する必要性が生じます。ここでは、これらの量を定義するとともに、3次元空間での速度を、どのように理解したらいいかについてお話します。
準備学習等
第4回 (5/7)運動(4)、運動の法則と力の法則(1)
 前回、3次元空間における物体の運動を考えましたが、その中でも位置や速度は比較的分かりやすい概念です。しかし、3次元空間における加速度は、これらと比べると少し分かりにくい概念です。例えば、加速も減速もしていなければ、物体の加速度は0だと思いたくなりますが、3次元空間では必ずしもそうはなりません。では、加速度をどう捉えたら良いのでしょうか?ここでは、加速度を2種類の成分(接線加速度、法線加速度)に分けて考えることで、その運動学的な意味を明らかにします。
 後半は、いよいよ力と運動の関係に話が移ります。皆さんは、物体を動かしつづけるためには、必ず力が必要だと思っていないでしょうか?動いている物体は、必ず止まると思っていないでしょうか?ニュートンが明らかにした「運動の3法則」は、これらの常識を否定する運動の第1法則(慣性の法則)から始まります。ここでは、運動の第1法則が持つ意味を少し詳しくお話しします。
準備学習等
第5回 (5/14)運動の法則と力の法則(2)
 今回はまず、古典力学の最も基本的な法則である、「運動の第2法則」を取り上げます。これは、力と運動の関係を表したもので、これを基にすれば、我々は、原理的には物体の運動のありとあらゆることを知ることができます。では、力と運動とは、どのように関係しているのでしょうか?もっと言えば、力は、物体の運動の何を変化させるのでしょうか?これについて、詳しく述べます。
 後半は、そもそも力にはどんな種類があり、どんな性質を持っているのかについて述べます。例えば、小さい子供と大きな大人とが手で押しあっている時、子供が大人を推す力と、大人が子供を推す力とでは、どちらが大きいでしょか?その解答は、「作用・反作用の法則」としても知られる「運動の第3法則」で述べられています。このような力の性質について、詳しくお話します。
準備学習等
第6回 (5/21)運動の法則と力の法則(3)、力と運動(1)
 前回やったように、力にはいくつかの種類があります。そのうちの一つである重力(万有引力)は、我々の生活とも深く関係しています。ここではまず、重力の基本的な性質についてお話します。また、重力が動植物に与える影響を調べるために、スペースシャトルなどの無重量状態における実験が行われることがありますが、その際に働いている実際の重力などについても取り上げてみたいと思います。つづいて、我々の生活に、時には役立ち、時には邪魔にもなる摩擦力の性質について説明します。我々が地上で安定して歩けるのは、この摩擦力のお陰ですね。
 最後に、いくつかの力の例を取り上げつつ、これらの力が働く物体の運動を知るための数学的手段についてお話します。前回やったように、力と物体の運動との関係は「運動の第2法則」(運動方程式)で示されていますが、数学的には、これは微分方程式として表現することができます。微分方程式とは何なのか、また、微分方程式の解とは何なのかについて,基本的な話をします。
準備学習等
第7回 (5/28)力と運動(2)
 力によって物体の運動がどのように変化するかを知るには、前回やった運動方程式を微分方程式の形で立てて、これを解けばよいのですが、単に式を立てただけでは不十分です。状況に応じた完全な形の解(物体の運動)を得るためには、「初期条件」と呼ばれる、付加情報が必要となります。ここでは、カーリングのストーンの運動や、物体の放物運動など、いくつかの簡単な例を取り上げ、運動方程式の立て方、初期条件の与え方と、方程式の解き方を説明します。
準備学習等
第8回 (6/4)課題(中間試験に代えて)
 ここまで学んできたことがどれだけ身についたか確認するため、中間試験と同じ形で課題に取り組んでもらいます。
準備学習等
第9回 (6/11)力と運動(3)
 まずは、運動を記述するために定義した、位置・速度・加速度の数学的な関係を調べるため、物理学を少しだけ離れて、定積分の話をします。微分や積分は、古典力学とともに発展してきたことからも分かるように、古典力学と非常に深い関係があります。皆さんは、定積分と言えば、不定積分を利用して求めるもの、と思っている人が多いかと思いますが、それでは定積分の本質を掴めていません。定積分とは、本来、どういうものなのか、それが物体の運動を表す位置や速度・加速度とどう関係しているのかをお話します。
 次に、定積分を利用して、運動方程式を少し変形すると、物体の運動を違った角度から眺められるようになります。そこに登場するのは「運動量」と「力積」という新しい物理量です。この両者の関係がどうなっているのか、この二つの概念を用いると、物体の運動の変化をどう捉えることができるのかについて、お話します。
準備学習等
第10回 (6/18)力と運動(4)、振動
 実は、運動方程式が厳密に解ける例は、あまりありません。と言うよりも解ける方がまれです。そんな非常にまれな例として、空気抵抗を受けながら落下する物体の運動と、単振動を取り上げます。ガリレオは大きさが同じで質量の異なる二つの物体をピサの斜塔から同時に落とし、二つがほぼ同時に地面に落下することを示したと言われています。本当に同時に落ちたのでしょうか?これを理論的に検証してみたいと思います。
 また、単振動とよばれる運動は、応用上、非常に重要です。例えば、分子振動なども、(近似的には)単振動として捉えることができます。ここでは、単振動の運動方程式と、その簡単な解の見つけ方を説明します。
準備学習等
第11回 (6/25)仕事とエネルギー(1)
 皆さんもよく知っているエネルギー、これは、自然界を統一的に理解するための重要な概念の一つです。古典力学ではまず、仕事という概念と関連して、運動エネルギーという形で理論の中に現れてきます。ここで出てくる、古典力学の概念としての仕事は、日常的に使われ、イメージされる仕事という言葉とは異なります。仕事とは、どのような概念なのか、そして、これが運動エネルギーとどう関係するのかについて、説明します。
準備学習等
第12回 (7/2)仕事とエネルギー(2)
 エネルギーには、いろいろな種類があります。その一つが位置エネルギーですが、では、位置エネルギーとは一体なんなのでしょうか?実は、位置エネルギーは、「保存力」と呼ばれる、ある性質を持った力に対して定義できるエネルギーです。保存力とは何か、そこからどのように位置エネルギーが定義されるのかをお話します。
 また、エネルギーは形を変えても、その全体の量は変化しないことが知られています。例えば、高い所にある物体が低いところへ落下する場合、高いところで持っていた位置エネルギーは失われ、代わりに物体は運動エネルギーを得ることになります。一つの質点の運動にだけ着目した場合に成り立つ力学的エネルギー保存則について、そのメカニズムを説明します。
 さらに、位置エネルギーと保存力とが、どのような数学的関係で結ばれているかを説明し、日常生活で混同されがちなエネルギーと力の違いを明らかにします。
準備学習等
第13回 (7/9)質点の角運動量と回転運動の法則(1)
 太陽の周りを回る地球の公転運動のように、あるいは、原子核の周りを回る電子のように、物体はある点の周りをぐるりと回る運動をすることがあります。このように、物体の運動を、ある点の周りの「回転運動」として捉えることで、これまでの運動方程式を、回転という観点から見た新たな形の方程式へと書き換えることができます。この、回転を記述する方程式(回転の運動方程式)では、力の変わりに「力のモーメント」、運動量の代わりに「角運動量」という物理量が登場します。それぞれの物理量の意味と、回転の運動方程式の捉え方をお話します。
 また、この法則の具体的な応用例として、中心力が働く物体の運動を取り上げ、この場合に角運動量保存則が成り立つことを示します。例えば、フィギュアスケートのスピンで、最後に回転速度が急速に増大するのは、この角運動量保存則のお陰です。
準備学習等
第14回 (7/16)質点系の重心運動、運動量と角運動量(1)
 これまで我々は1個の物体(質点)の運動のみを扱ってきましたが、ここでは複数の質点からなる系(質点系)の運動を記述する方法を説明します。ここで出てくる大事な概念の一つが「重心」です。質点系の外から各質点に働く力が、重心の運動にどう影響しているか、また、重心周りの質点系の回転運動にどう影響しているかを、説明します。
 さらに、質点系の特別な場合として、外部から完全に孤立している質点系の性質について考えます(例えば宇宙全体がこれに相当する)。このような場合、質点系全体に対して、運動量保存則・角運動量保存則が成り立つことを示します。
準備学習等
第15回 (7/30)質点系の重心運動、運動量と角運動量(2)
 前回と同様、質点系の特別な場合として、外部から完全に孤立している質点系を考え、この場合に、質点系全体に対してエネルギー保存則が成り立つことを示します。
また、その応用例として、2物体間の衝突を取り上げ、衝突前後の運動の変化について説明します。
 最後に、これまでに学んだ事柄の集大成として、古典力学が描き出す世界像について考えていきます。古典力学は、どこまで我々の現実世界を描くことに成功しているでしょうか。また、どこにほころびが見出されるのでしょうか?そのほころびの一部は、後期の「物理学B」で取り上げる電磁気学で修正されることになり、より現実世界に近い世界を描き出すことができるようになるのですが...
準備学習等
第16回 (8/6)期末試験 準備学習等

成績評価

授業目標(達成目標)の達成度を、期末試験にて評価し、授業で取り扱う種々の基礎概念のうち、概ね6割以上を理解していると見なせるものを合格とします。その上で、最終的な成績評価は、下記の評価を基に決定します。
・授業各回の活動評価(15%)
  授業時の小テスト、質問票等により評価します。
  出席点ではないことに注意して下さい。出席自身は評価の対象としていません。
・授業時間外学習の実施状況評価(15%)
  各回の授業に対して課すレポート提出状況により評価します。
  解答が正誤を評価するものではないことに注意して下さい。
・期末試験(70%)
  病欠等のやむを得ない事情があった場合を除き、追試験は行いません。