幾何学入門(電気(数理・電物)・機械)

科目名
Course Title
授業コード 単位数 配当年次 開講期間
Term
科目分類 ナンバリング
コード
曜日
コマ
教室 担当教員氏名
Instructor
幾何学入門(電気(数理・電物)・機械)
Introduction to Geometry
A600200001 2 2 前期授業 理系基礎科目 FLMAT2920-J1 月1 B3-205 山口 睦

オフィスアワー

授業支援システムのページのフォーラム

授業目標

n次元ユークリッド空間(n次元数ベクトル空間)には内積が定義されることは,1年次の線形代数の授業で学んだが,この授業では内積からn次元ユークリッド空間の2点間の距離が定義され,距離が与えられたことによって,はじめて数列の収束や関数の極限について議論できることを理解する.
その上で,距離という概念の背後にある「位相構造」と呼ばれる数学的構造へと抽象化する過程と,その必然性を理解することを目標とする.
さらに,微積分学における基礎的な定理である「最大値・最小値の定理」や「中間値の定理」が,それぞれ「コンパクト性」や「連結性」と呼ばれる性質を持つ位相空間で定義された連続関数についての定理に一般化されることを理解する.
さらに距離空間の間の写像について「一様連続」という概念を導入して,コンパクト性の概念の応用として,コンパクトな距離空間を定義域とする連続写像が一様連続であることを示す.
この授業では,以下の項目について正しく理解することを目標とする.
1.距離空間の定義と,距離空間における点列の収束・距離空間の間の写像の極限の概念
2.距離空間における開集合・閉集合
3.位相空間の定義
4.連結性の概念と中間値の定理の証明
5.コンパクト性の概念と最大値・最小値の定理の証明
6.一様連続性の概念

教科書

無し.プリントを配布する.

参考書

松阪和夫著「集合・位相入門」(岩波書店),
森田茂之著「集合と位相空間」(朝倉書店)など

授業時間外の学習(準備学習等について)

授業時間だけでは,この講義の内容を理解し,その理解を定着させることはできないので,授業の復習は勿論のこと,予習も行うこと.
下記の「授業計画」の項にいつ, どのような内容を講義するかが書かれているので,授業前にその節の内容を必ず読み,配布したプリントや参考書などを読むことによって,授業で扱うトピックに関して大まかなイメージをつかむよう心掛けること.
もし解りにくい点があれば,何が解っていないのかを明らかにし,問題意識を持って授業に臨むこと.
また,配布したプリントの演習問題を解くことなどによって復習も欠かさないこと.

授業の概要

幾何学はもちろん,解析学の基礎でもある位相空間論への入門的講義である.
「距離」の概念から「位相」の概念へと抽象化する過程を学ぶことによって,概念の抽象化の方法や利点を理解し,抽象化によって概念の本質を理解するという数学の手法を学んでもらうことに重点をおいて解説する.

授業計画

第1回 この授業の概要を説明した後,以後の授業で用いる集合と写像に関する用語と記号などを紹介する. 準備学習等
第2回 n次元ユークリッド空間の内積から距離を定義し,三角不等式と呼ばれる不等式が成り立つことを示す.
さらに距離の概念を用いることによって点列の収束や写像の極限が議論できることをみる.
準備学習等
第3回 ユークリッド空間の点列の収束や,ユークリッド空間の間の写像の極限は,各成分ごとの数列の収束や,関数の極限を考えることと同値であることを示し,さらに内積から与えられる距離の概念を「距離関数」という概念に一般化する. 準備学習等
第4回 ユークリッド空間や,その部分集合には内積から定義される距離関数の他にも色々な距離関数が考えられるが,異なる距離関数を用いた場合に点列の収束や写像の極限がどのように変わるかについて考察し、距離関数の背後にある数学的構造について言及する. 準備学習等
第5回 距離関数を用いることによって「開集合」や「閉集合」と呼ばれる特別な部分集合を定義し,これらの集合の性質について解説する. 準備学習等
第6回 点列の収束・発散は距離関数から定まる開集合全体の集合から決まることを示すことによって,点列の収束・発散や写像の極限を直接支配しているのは、距離関数そのものではなく,距離関数から定まる開集合全体の集合であることをみる. 準備学習等
第7回 距離関数から定義される開集合が与えられた「空間」の概念を,位相空間の概念に抽象化し,位相空間の例を紹介する. 準備学習等
第8回 位相空間の間の連続写像の定義と性質について解説する. 準備学習等
第9回 位相の生成・強弱について解説し,部分位相空間・直積位相空間の概念を導入する. 準備学習等
第10回 実数の部分集合に関して有界・上限・下限という概念を定義して,「上に有界な実数の部分集合は上限をもつ」という基本的な定理を示す. 準備学習等
第11回 位相空間の連結性の概念を導入し,連結性に関するいくつかの重要な結果を示す. 準備学習等
第12回 実数の集合における開区間は連結であることを示し,中間値の定理を証明する. 準備学習等
第13回 位相空間のコンパクト性の概念を導入し,コンパクト性に関するいくつかの重要な結果を示す. 準備学習等
第14回 実数の集合における有限閉区間はコンパクトであることを示し,最大値・最小値の定理の定理を証明する. 準備学習等
第15回 距離空間の間の写像の「一様連続性」という概念を導入して,距離空間の間の連続写像の定義域がコンパクトなならば一様連続であることを示す. 準備学習等

成績評価

下記の達成目標に関する問題が解答できるかどうかを評価し,C(合格)となるためには, 基本的な問題を概ね正しく解答できる
ことが必要である.なお平常の授業の課題を40%,期末試験60%で評価するが,対面での試験が行えない場合は平常の授業の課題のみで評価を行う.
1.距離空間の定義と,距離空間における点列の収束・距離空間の間の写像の極限の概念
2.距離空間における開集合・閉集合
3.位相空間の定義
4.連結性の概念と中間値の定理の証明
5.コンパクト性の概念と最大値・最小値の定理の証明
6.一様連続性の概念