量子力学特別講義

科目名
Course Title
授業コード 単位数 配当年次 開講期間
Term
科目分類 ナンバリング
コード
曜日
コマ
教室 担当教員氏名
Instructor
量子力学特別講義
Selected in Quantum Mechanics
P131080001 2 1 後期授業 専門科目 TPPHY7539-J1 月3 B9-211 魚住 孝幸

オフィスアワー

金曜10時-12時

授業目標

3d遷移金属化合物および4f希土類化合物などの,いわゆる強相関電子系と呼ばれる物質群は,高温超伝導や様々な磁性,ヘビーフェルミオンなど多彩な物性を示すこが知られており,それら物性の発現機構を微視的電子状態に遡って明らかにすることは,工学的応用・基礎物質科学の観点から重要な研究課題です.強相関電子系の電子状態を調べる有力な研究手法として,内殻光電子分光や内殻X線吸収分光をはじめとするX線分光法が知られています.例えば,内殻光電子分光では,X線照射による内殻励起によって生じる内殻正孔ポテンシャルにより,価電子帯の多体応答が引き起こされるので,スペクトル解析を行うことにより価電子帯の情報が得られます.このような過程は量子多体問題であり,スペクトル解析には強相関電子状態と光学過程を適切に記述する理論枠組みが必要です.この授業では,強相関電子状態の記述に必要な様々な基本的知識とスペクトル解析のスキルを学び,実際の電子状態研究に活かせるようになることを目標とします.

具体的には、以下の能力を身につけることを達成目標とする。
1. 第2量子化法に基づいて量子力学的記述ができること。
2. LCAOバンド計算手法に習熟すること。
3. 不純物アンダーソン模型を用いて種々の物理量が計算できること。
4. 電子-光子相互作用に基づくスペクトル関数が扱えること。
5. 数値計算コードを作成し、数値的にスペクトル計算が行えること。
6. 数値計算を用いて実験スペクトルと強相関電子状態との関係を考察できること。

教科書

なし

参考書

F. de Groot and A. Kotani: Core Level Spectroscopy of Solids (CRC Press).
G.Grosso and G.P. Parravicini: Solid State Physics (Elsevier).
G.D. Mahan: Many-Particle Physics (Plenum).
上村洸,菅野暁,田辺行人「配位子場理論とその応用」(裳華房).

授業時間外の学習(準備学習等について)

授業時間だけでは,講義内容をよく理解し,授業目標を達成することは困難です.そのため,授業テーマにあわせて,適宜,数値計算を含む演習問題を出題します.授業時間外の学習では講義内容の復習はもちろんの事,問題演習あるいは数値計算結果の検討を通じて理解を深めてください.

授業の概要

遷移金属化合物、希土類化合物を念頭に、多電子系の量子・統計力学的取扱い、および電子状態研究手法のひとつとしてX線分光理論について講述する。不純物模型などを用いた磁性の取扱いや種々のスペクトル理論・計算手法を解説した後、具体系における局所磁性・電子状態とスペクトル微細構造との関係を理解させ、量子多体効果に由来する多様な物性について、自立した研究を行なう能力を授ける。

授業計画

第1回 ガイダンス:講義全体に関する説明,数値計算環境の整備 準備学習等 計算機使用法の確認
第2回 磁性の基本分類と初等的記述 準備学習等
第3回 不純物アンダーソン模型による磁性の取扱い 準備学習等 多重項の入らない数値計算プログラムの作成
第4回 第2量子化法に基づく電子‐光相互作用の記述とX線励起選択則 準備学習等 第2量子化法,および水素原子軌道について予習・確認しておく
第5回 X線分光とスペクトル計算理論の概要 準備学習等
第6回 磁性元素の記述Ⅰ:原子多重項相互作用とフント則 準備学習等 スピン-軌道相互作用やクーロン相互作用の点群的扱いの予習
第7回 磁性元素の記述Ⅱ:結晶場および電荷移動機構 準備学習等 分子軌道とLCAO記述法の予習
第8回 現象論的不純物模型を用いたスペクトル計算の枠組み 準備学習等
第9回 実習Ⅰ:スペクトル計算プログラムの使用法 準備学習等 数値計算によるフント則の確認など
第10回 実習Ⅱ:遷移金属化合物のX線光電子放出・吸収分光計算 準備学習等 パラメータ調節による実験スペクトルのフィッテイング
第11回 実習Ⅲ:遷移金属化合物のX線発光分光計算 準備学習等 パラメータ調節による実験スペクトルのフィッティング
第12回 第一原理バンド計算の概要と具体的計算 準備学習等 Wien2kマニュアルに目を通しておく
第13回 第一原理バンド計算からのパラメータ評価と拡張不純物模型 準備学習等 Slater-KosterのLCAOバンド計算を予習
第14回 実習Ⅳ:拡張不純物模型による多電子基底状態の記述 準備学習等 MO系に対する計算と結果の考察
第15回 実習Ⅴ:拡張不純物模型によるX線分光の計算 準備学習等 MO系に対する計算と結果の考察

成績評価

授業目標(達成目標)の1~7の達成度で成績評価を行う。C(合格)となるためには、
1~6のすべての項目に関する基本的な問題が解けることが必要である。
成績は、各回の授業で提示する演習問題に関するレポート、およびそれに関連する口頭試問
で総合的に評価する。